覚悟はいいですか

礼がほっとした顔で脱力しているのを見て、彼もすごく緊張してたのかと思ったら、涙を浮かべたままクスっと笑ってしまった


「っな、笑うなよ……」

「だって、フフッ」

「なにも言わないから、まさかとは思うけどまだそこまで考えられないとか言って、受け取ってもらえないかもって、マジで心配になったんだから」

「ごめんなさい。びっくりしちゃって」

礼はフウっと一息ついて、私をきちんと見た

「ほんとは昨日、織部会長に認めてもらえたらすぐプロポーズするつもりで準備してたんだよ。ちゃんとしたレストランも予約してたけど、あんなことになったし。
本来は仕切りなおすべきなんだろうけど、すぐにでも紫織が俺のものって印付けときたくて」

「ううん、すごく嬉しい。でもなんでそんなに急ぐの?」

「はああ、わかってないな。もう紫織は今までのように目立たないように眼鏡したりとかしなくてもいいだろ?むしろこれからどんどん注目を浴びる立場になるじゃないか。
そうしたら、他の男が絶対寄ってくる。そいつら追っ払うのには指輪が一番有効なんだよ」

「もう心配性だなあ、私は礼みたいにモテないもん」

それに私は礼しか見えないもの

「もう、これだから無自覚は……」

礼はボソッと何事か呟くと、ローテーブルに箱を置いて指輪を取り出した
片膝立ちのまま、私の左手をとると薬指に指輪をはめてくれた
そして私の手を騎士のように捧げたまま指輪に口づけた

も、もう、礼のバカ!かっこ良すぎなんだから!!

自分でもわかるくらい顔が熱い
きっとめちゃくちゃ赤くなってる……
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