覚悟はいいですか
礼が優しく目を細めて言う

「今は信じられなくてもいい。そのうち嫌というほどわからせてあげる
君なしでいられないほど好きでしょうがないってことを

やっと全部守れるようになったから
これからは全身全霊で君を守るよ

だから早く俺に墜ちて、紫織」

そうしてアッと思う間もなく、かすめるように唇と唇が触れた

ーーー一瞬の思考停止ーーー

ボンッと一気に顔が火を吹いた

ええ~~~っ!!
い、今、き、き・・・キスした?!
高速で瞬きを繰り返す
息が止まって、心臓の早い鼓動だけがやけに耳に響く

パニックを起こす私をさらに礼が追い詰める

「可愛い、紫織」

そう言って手を後頭部と腰に回し、美麗な顔を近づける
鼻先が触れあう寸前に長い睫毛を半目までふせて

「目、閉じて」

と囁いた

反射的に目を閉じてから、いや逃げなきゃと気づいたが、片手でガッチリ後頭部をホールドされて動けない

そのまま礼の唇がさっきよりしっかり重なった
感触を確かめるように唇を擦り合わせたり、上下のそれを別々にハムハムしたり、舌先でレロレロなでたり・・・

礼の胸を押すけれどびくともしなくて、慣れない行為に息があがってくらくらしてきた・・・

いたずらのようなキスに頭はパンク寸前!でも何だろう、嫌じゃない、むしろ何か気持ちいいような・・・

次第に礼を押し返す手に力が入らなくなってくる
どうしよう、その言葉だけが頭をグルグル回っていて・・・

礼が唇を離した

やっと解放された私は、
はあっとため息をつく
うっすら目を開けると、礼が息をのんだ

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