DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


おれは叫んだ。


音も思念も、きっとどこにも届かなかった。


おれの声よりもっとデカい音と思念がおれを取り巻いてるから、おれは全部呑み込まれた。



意識が薄れる。


何ていうか、ふわふわしていた。


死へと近付いていく。


その感覚は、勝手に想像していたのよりもずっとふわふわと柔らかかった。



轟音が鳴り続けているのはわかった。


なのに、静かだった。ふわふわだった。



ひとりだなあ、と思った。


いつの間にかさよ子もいなくなっていた。



それから、本当に静かになった。



真っ暗になった。おれはしばらく眠った。



どれくらい眠ったんだろう?



ぽつ、ぽつ。


何でこんなかすかな刺激に気付いたんだろう?


ぽつ、ぽつ。


雨だなって、何となくわかった。


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