DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
背中に親父の声が飛んでくる。
「理仁、近いうちに学校に顔を出すだろう? 話はそのときでもいい。私は別の場所にいることもあるが、最近はできるだけ毎日、様子を見に行くことにしているのだ」
姉貴は親父の呼びかけをガン無視しながら、ため息をついて小声で言った。
「どうして理仁はわざわざ、あんなやつが理事長をやってる高校に入ったの? とっとと離れればよかったじゃない」
そりゃあ、おれだって後悔しまくってるよ。
めっちゃ面倒くさいけど、しゃーないじゃん。
おれは口を開かずに、思念を声みたいに編んで、直接、姉貴へと飛ばした。
【情報収集したいから。探るには、潜入すんのがいちばんかなって思って。学園の運営ってどんなもんなのか、目を凝らして見ておくんだ。
そしたら、近い将来、おれがあの学園を乗っ取ってやるときに役立つでしょ】