DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
姉貴が目を見張った。
おれはニッと笑ってみせた。
【多様なコースを持つ割にリーズナブルな学費で有名なマンモス私立校、襄陽学園。親父は裏であれこれやってて真っ黒でしょ。
追い出すのは簡単だと思うんだ。追い出した後、おれがキッチリ仕切ってやったら全部丸く収まるよね~。それがおれの将来の夢】
姉貴もニッと笑った。
「期待してるわ。戦わなきゃね」
そーいうことだ。
こっちに戻ってきちゃった以上は、逃げてばっかりもいられない。
向き合ってくしかない。
首から提げた鎖の先で、朱獣珠が、おれにしか聞こえない思念のつぶやきを漏らした。
――運命の大樹が騒いでいる。この一枝はひどく重い。
重いの? 折れちゃいそう? バランス狂っちゃってる?
朱獣珠が、うなずくように鼓動した。
――因果の天秤に、均衡を。宝珠が集うぞ。心せよ、我が預かり手よ。