DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


姉貴が目を見張った。


おれはニッと笑ってみせた。



【多様なコースを持つ割にリーズナブルな学費で有名なマンモス私立校、襄陽学園。親父は裏であれこれやってて真っ黒でしょ。

追い出すのは簡単だと思うんだ。追い出した後、おれがキッチリ仕切ってやったら全部丸く収まるよね~。それがおれの将来の夢】



姉貴もニッと笑った。



「期待してるわ。戦わなきゃね」



そーいうことだ。


こっちに戻ってきちゃった以上は、逃げてばっかりもいられない。


向き合ってくしかない。



首から提げた鎖の先で、朱獣珠が、おれにしか聞こえない思念のつぶやきを漏らした。



――運命の大樹が騒いでいる。この一枝はひどく重い。



重いの? 折れちゃいそう? バランス狂っちゃってる?


朱獣珠が、うなずくように鼓動した。



――因果の天秤に、均衡を。宝珠が集うぞ。心せよ、我が預かり手よ。


< 137 / 405 >

この作品をシェア

pagetop