DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
全知全能と来たか。
スペシャルなチカラを持ってそうだって気はしてたけど、まさかそこまでデカいタイトルを出されるとはね。まるで神さまじゃねぇか。
胸の内でこっそり、肩をすくめるような気分。
もちろん、顔にも態度にも出さなかったはずだ。
平井の思念の声がうっすらと笑いを含んで、地鳴りのように低く轟いた。
【残念ながら、長江理仁くん、私は一神教における神の全知全能ぶりには到底、及ばない。私ごときの全知とは、事が起こってからしかそれを知り得ない程度のものだ】
待てよ、おっちゃん。
おれ、声出して言ってねーって。
肉声はもちろん、テレパシーで漏らすようなこともしてなかったはず。