DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


総統の体はそこそこ鍛えられてる様子で、おっさんなりに引きしまっていた。


その皮膚のところどころに、小さく光る丸いものがぼこぼこと、のめり込んでいる。



目を凝らすまでもない。


ぼこぼこの正体は、宝珠だ。



筋肉の形が見て取れる胸に、腕に。


脂肪がなくストンとした脇腹に、へその上に。


ゆっくりと後ろを向けば、背筋に沿ってびっしりと。



とっさには数えきれないほどの宝珠は、皮膚と滑らかに同化して、鼓動とともにほのかに明滅している。


そこから動かない宝珠もあれば、ぬるりと肌の中に沈んでいって再び浮いてくるもの、循環するようにゆっくりと動いているものもある。


< 294 / 405 >

この作品をシェア

pagetop