DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
封印とか、結界とか。
たぶん、そんな感じの言葉で表現されるもの。
朱獣珠の声が聞こえる。
――見よ。宇宙の因果の均衡を、その身の上に実現している。
――両腕に陰陽を拮抗させ、腹に七曜を宿し、背に十干十二支の巡りを顕《あらわ》す。
――もし、一つたりとも均衡が損なわれるならば、如何《いかん》か。
――チカラは、預かるべき宝珠をも侵すべく、荒れ狂うだろう。
――そして、運命の大樹におけるこの一枝は滅ぶ。
運命に形があるのなら、たくさんの枝を持つ大樹みたいなものだ。
宝珠について書かれた本や古文書を見ていると、そんな文言が必ず出てくる。
大樹の一枝が、この世界だ。この地球だ。
人間が預かり知れないどこか別のところには、全然違う一枝があって、それがまた一つの世界だ。