DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
三台のバイクは教職員の車の列を駆け抜けながら、異変に気付いて速度を緩めて、最後にキュッとブレーキをかけた。
続く先にあったのは、VIP用の駐車場じゃなくて、行き止まりだ。
頑丈そうな防火シャッターが下ろされていて、先へ進めない。
おれはヘルメットを外しつつバイクから飛び降りて、シャッターに駆け寄った。
「ちくしょう、何だよこれ? こんなもんがあったのかよ。てか、新しいよな。最近作ったのか? さすがにこれの合鍵は持ってねぇぞ」
目の前のシャッターには、人が通り抜けるためのドアがない。
空間は完全に隔離されている。
周囲を見渡す。
シャッターそのものを隅から隅までと、近くの壁、柱。
天井も見上げてみるけど、シャッターを操作できそうなものは何も見当たらない。