DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
姉貴が無言でパッと動いて、さよ子の拘束を解きにかかった。
それと同時に、おれは、戸惑う様子の戦闘要員ふたりに命じる。
【きみら、壁際に下がっといてくれる? デカい図体してる人がそのへんにいたら、絵面的にすっげー邪魔なんだよね】
見えない手に放り投げられるみたいに、大柄な男ふたりがものすごいスピードで壁際まで飛んでいった。
入れ替わりに、鈴蘭がさよ子に駆け寄って、ロープの結び目に取り付く。
姉貴が海牙を呼んだ。
「海牙くん、壊すの手伝って。この下品な手錠と猿轡《ボールギャグ》」
「了解しました」
「こういう類の代物、生理的に受け付けないから、原形をとどめないくらい粉々にして」