DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
ケーキのプレートは、ポット入りの紅茶と凝った模様の取り皿と一緒に、すぐに運ばれてきた。
さよ子は、ケーキをナイフで半分こして取り皿に分けて、というお行儀のいい気分ではないらしい。
自分のほうにプレートを寄せて、そのまま食べ始めた。
「あ、おれもチーズケーキ食べたいんだけど」
「ほしいものは自分で取ってください」
「ちょーっと遠いかな」
「先輩は腕が長いんだから届くでしょ?」
「いや、でも、遠いとこから目の前にフォーク伸ばすの、目ざわりじゃない?」
「べっつにー」
「んじゃ、遠慮なく」
ひとまずおれは安心する。
さよ子の様子、空元気《からげんき》だろうなとは感じるけど、パパが全力で心配するほどの沈み方はしていない。
どうにか自力で浮かんできて今ここ、っていう状態なのかな。