DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―


ところで、おれの生きるこのストーリーに平穏や日常ってものは存在しないらしい。


犬にバイバイしてコンビニを後にして、すぐのことだ。



襄陽学園のバカデカい塔を見ながらいくつか角を曲がったところで、おれたちは足を止めた。


あいつ、と煥がつぶやいた。



またすぐ会うんだろうなって気はしてたんだけどね。



スラリと細くて背の高い、ウェーブした黒髪のイケメンが、黒塗りの上等そうなワゴン車を背にして立っている。


そいつは、まるで友達相手にそうするみたいに軽く右手を挙げてみせた。



「おはようございます。ここ、通ると思ったんです」



隣町の男子校の制服を着てる。


のっぺりしたグレーの詰襟だから「墓石」って陰口叩かれてる制服だってのに、手足が長くてスタイルのいいやつが着ると、こうもシックに決まっちゃうもんなのかね。


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