DISTOPIA EMPEROR―絶対王者は破滅を命ず―
「ちょっと誤認がありますね。実は、身体能力そのものはたいしたことないんですよ。まあ、どう思われようが、かまわないか。
それより、皆さんにお尋ねしたいことがあります。正直に答えてください。割と本気な質問なんでね」
海牙は左右対称な笑みを浮かべながら、音もなく体勢を変えた。
右脚に重心を掛けてたのを左脚に移すくらいの、ほんのさりげない動きで。
おれは息を呑んだ。
一瞬のうちに、海牙の手には巨大なヒカリモノが握られていた。
刃渡り一メートルくらいありそうな曲刀。三日月刀《シミター》ってやつだ。
しかも、あの刃の光り方は、胞珠の増幅器を仕込んだ軍用のもの。
シャレになんねーでしょ。
あのクラスの危険物、日本のまちなかで朝っぱらから見ることになるとはね。
まわりを歩いてた人たちがサーッといなくなる。
ケンカ沙汰の巻き添えにはなりたくねぇよな。
三日月刀《シミター》で斬られるのも冗談じゃないけど、あれが破砕したらヤバいってのもある。