傷だらけの君は
「本当に切っていいの?」
「はい。褒めてもらったのに、本当に切ることになっちゃってすみません」
「いやそれは全然いいけどさ……一つ、覚えといてね」
沖田さんの声が後ろから聞こえる。
「髪を刀で切るとかありえないから。さすがにうちも鋏くらい置いてるよ」
「覚えておきます……」
あたしは自分で髪を切ったことがなかった。
一度、逆上した依頼人に切られたことはあったけどあの時は刀で無理やり切られたから。
髪は刀で切るものだと思っていたし、鋏なんて道具があることもさっき初めて知ったくらいだ。
『刀?何に使うの』
『髪を切るのに使おうと思ってます』
『本当に馬鹿か?』
呆れ返った沖田さんが「ちょっと待ってて」と言って持ってきてくれたのは見たこともない物で。
それが髪を切る道具だと教えてくれた。
そして今、その鋏を持った沖田さんがあたしの後ろに座っている。