傷だらけの君は
その願いが叶うことはなくて、あたしはいま暗闇の中にいる。
視界が失われたのは二日前。
正確には一時的に視覚を失っているだけだから、もう少しすれば見えるようになる。
......はず。
「......ちょっと、怖いなぁ」
今までも同じようなことはあったけど、全盲になることはなかったから。
一筋の光も見えない真っ暗な世界は、今が朝であることですら忘れてしまうほどで。
布団のこすれる音にさえ敏感に反応してしまう。
「紅、入るよ」
無の世界に入ってきたのは、もはや聞き慣れた沖田さんの声だった。
そのあと襖が開けられる音がして、足音が近づいてくる。
「まだなにも見えない?」
「はい......ずっと真っ暗です」
まるで闇のなかにいるみたい。
そう言うと沖田さんはそっか、とあたしの髪の毛を手で梳いてくれた。
「無理ばっかりして、君は死にたいの?」