傷だらけの君は
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「はあっ……はあ、」
見えてきた。あれが”池田屋”
山崎さんが書いてくれた地図は、簡易なものだけどすぐに分かった。
店からは光が漏れていて、真っ暗な町では異質の存在感を放っている。
雨が降っていた。雨のせいで視界が悪く、足がもつれそうだ。
だけど止まれない。止まるわけにはいかなかった。
『沖田くんが向かったのは池田屋や。きっともう始まってる』
『あーあ、わい土方さんに斬られるなぁ絶対』
そう言って笑った山崎さんは、あたしの背中を押してくれて。
『さっきの言葉、直接本人に伝えてやりな』
「あっ」
ぬかるんだ地面に足をとられて派手に転んでしまう。
もう少しなのに、はやく。はやく。
あたしは立ち上がった。店の前までたどり着いて、一呼吸おいてその戸口を開ける。