傷だらけの君は
飛び交う怒号、鼻先をかすめる剣先のなかをあたしは走り抜ける。
「藤堂さん!」
「えっ、紅!?」
前方で、藤堂さんが着流し姿の人物と向かい合っていた。
振り返った藤堂さんの片目は潰されていた。
いや、額から流れた血で片目を閉じているんだ。
あたしはその額に手をかざした。
すぐに燃えるような痛みがやってくる。
血があふれ出してきて右目の視界が奪われた。
藤堂さんはこんな傷を負いながら戦っていたんだ。
平衡感覚を失い、一瞬だけ足を止めてしまう。
だめだ。まだ、だめだ。
よろけている場合じゃない。
幸いにもすぐに片目だけの世界に慣れて。
また、真っすぐ前を向いて足を動かす。
うしろで藤堂さんがなにか叫んでいる。
あたしの足は止まらない。