Silver Night-シルバーナイト-



「琉聖さーん!」「佑衣君ー!!」なんてまるでアイドルのコンサートみたいに、女の子達は二人がこっちを見ないかと必死に呼んでいるものの、二人はまるでフルシカトで……




だからか、余計に私が睨まれている気がしてならない。



スタスタと御構い無しに進んで行く琉聖に気が付いたらしい教室前の人集りが、サァーっと廊下の隅へと避けていく。



「琉聖、並ばないの?」




あきらかに並んでいたであろう人達を追い越し、教室の入り口へと向かうもんだからそう聞いたのに、帰ってきた言葉は「俺らが外にいる方がよっぽど混む」なんてもっともな返事。




「莉愛、行こう」




佑衣に軽く背中を押され、たくさんの視線の中、梓と悠真のクラスへと入った。




中は綺麗に飾られ、ダンボールで出来た看板には可愛らしくパンケーキと書かれている。




中を見渡すと、一際目立つ一角。




まるで王様みたいにふんぞり返って椅子に座っている梓がいる。そしてその周りを囲むようにたくさんの女の子達がいるけれど、それは決して絶対領域は超えてはいけないのか…1メートルばかり不自然な空間が出来ている。



教室内はごった返して仕方ないのに、梓の周りだけはそれを許す事はないみたいに…別空間が出来上がっていた。




その隣にいる悠真はというと、クラスメートだろうか…二人の女子と何やら楽しげに話している。




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