Silver Night-シルバーナイト-
琉聖の後ろからそんな二人を覗き込んでいると、それに気が付いたらしい梓とパッチリ目が合った。
梓は座っていた体制からゆっくりと立ち上がると、形の良い唇をそっと開く。
「座れよ」
騒がしいはずの空間が一瞬にしてシンッとした空気になり、そして梓の声が私の元へと届く。
そんな梓の声に合わせるようにして、今まで梓を囲っていた人達の驚いたような視線が一斉に私へと集まった。
「うん…」
梓や琉聖、そして悠真や佑衣にとったらこれが当たり前で日常なのかもしれない。だけど私にとったらこれは非日常的で…今まで人から注目なんてされたことのない私には異様な光景で…
「莉愛ちゃん、どうぞ」と、いつの間にやら女の子と話を終えていたらしい悠真に今度こそ呼ばれる。
梓が座っていたのは、向かい合わせになった二人がけの椅子とテーブル。
梓が座っていた方に座るよう言われ腰をかけると、その前には佑衣が座った。
一応今回はお客さんである私と佑衣。
だけどこんなにも周りの人達に見られてたんじゃ落ち着きやしない…。
しかもこのシルバーナイトのスリートップを立たせているとなると、周りに恨まれそうで…気が気じゃなかった。