Silver Night-シルバーナイト-
文化祭の帰り。
てっきり佑衣と二人で帰るものかと思っていた私だったけど、どうやら三人はホームルームをサボったらしく5人で一緒に学校を出た。
今日は今まで体験した事のないような楽しい一日だった。
どこか興奮が冷めないまま、右手にはお土産にもらったゲームの景品の小さなクマ。
「この後どうすっかー」
夕暮れの道路を5人で並びながら歩く。
今思うと、こうして誰かと一緒に歩く事でさえ…私にとったら奇跡みたいなものなのだ。
「倉庫に行かないの?」
私の隣でかったるそうに歩く琉聖を視界に入れると、琉聖も私を見下ろした。
「今日は閉め切ってるからな。こういう祭り事の時は何かあると困るから基本閉めてんだよ」
そうなんだ、そんなルールもあるんだね。
「夜飯でも食べにいく?」
佑衣の隣にいる悠真が私の方へ顔を出し首を傾げるけれど、
「まだお腹すいてない…」
さっきまで文化祭の屋台でもらった食べ物をたらふく食べてたからか、まるでお腹が空いていない。
それどころかもともと小さめな私の胃袋は、きっと今日夜ご飯は食べなくても大丈夫な気がするくらいだ。