Silver Night-シルバーナイト-
「体調は?」
「うん、平気。少し身体が重いくらい」
「それ、平気じゃないだろ」
困ったように笑った聖は、今日も校内中の生徒達の視線を集めていて、色素の薄い髪がサラリと風に揺れる。
「今日この後予定無いから、一緒に夕飯食べよう」
「うん、そうだね」
「引っ越しの事も決めたいし」
「分かった、気はのらないけど」
そう素直に言って小さく笑って見せると、聖は軽く眉を垂れ下げて困ったようにして私の頭を撫でた。
「大丈夫だよ、莉愛に嫌な思いはさせない」
「聖ってば、大人になったんだね」
そうからかうようにして言えば、私の顔を見た後優しく目を細めて笑う。
「俺も莉愛も、もうあの時とは違うよ」
「…うん」