Silver Night-シルバーナイト-
それとは対照的に、屋敷の中は何も変わっていなかった。
階段の色もシャンデリアの形も、私と聖が昔遊んでいた時にぶつけたドアに付いた古びた傷も。
一見華やかな室内なのに、このとても冷たく寂しげな雰囲気も。何にも変わってない。
「莉愛の部屋はこっち」
「前とは違うの?」
「俺の部屋の近くにしたんだよ」
ここにも一つ。
聖の優しい気遣いが私を守ってくれてる。
「ここの部屋」
「うん、わかった」
それは子供の頃に使っていた部屋よりもはるかに広々としていて綺麗に整えられていた。
大きな窓に天がき付きのベッド。
座り心地の良さそうなソファーに映画館みたいに大きいテレビ。
「俺は二つ隣の部屋だから、何かあったらすぐに呼んで」
「ありがとう」
「何か必要なものがあったら持ってこさせるけど、ある?」
「うーん、今は思いつかないな。思いついたら言うよ」
「了解」