Silver Night-シルバーナイト-
それからは携帯の電源を切って引き出しの奥へとしまった。
夜は聖と夕食を共にしたけれど、あまり食事は喉を通らなかった。
そんな私を聖は心配そうに見ていたけれど、何も言わずにいてくれた。
夕食後は聖の部屋で洋画を見た。
一人でいるにはあまりにもキツい夜だったから、正直言ってありがたかった。
「ねぇ聖、お願いがあるんだけど」
「お願い?」
そう言った私を彼は不思議そうに見つめると、ブラックコーヒーを口へと運ぶ。
「明日から下校は一緒に帰ってもいい?」
登下校は一人ではしないと言った限り約束は守らなくてはいけない。それに黒雅と何かあって皆んなに迷惑をかけたくもない…
あと、もう一つの理由は…さすがにまだこの家に一人で帰ってくる勇気が持てないでいる。
もし聖がいない時に叔父様や叔母様が帰ってきたら…もし、お爺さまが帰ってきたら。
…そう思うと正直怖い。