Silver Night-シルバーナイト-
「見かけたら、声ぐらいかけてくれるんじゃなかったのか?」
小さく口角を上げ、特に楽しそうなわけでもないのに目を細め笑って見せる彼は。
「体調は良くなったみたいだな」
意外にも優しくて
「はい、新さんのおかげで」
どうやら未だに私の心配をしてくれていたらしい。
黒雅のトップであるこの男は、やはりどこか掴めない人物のようで…
周りにいた男達へ少し離れた所で待つよう手で指示を出すと、再び私の方へと向き直した。
「それにしても、また一人でいるなんて懲りない奴だな」
呆れたように、だけどどこか困ったようにそう言った新は当たりをぐるりと見渡した。
「護衛も付けずに下校か」
「護衛って…私、もうシルバーナイトの皆んなとは会っていないので…」