Silver Night-シルバーナイト-

校門を出て駅の方角へと歩く。

間宮の家は駅から東に進んだ高級住宅街の一角で、駅を通過して帰らなければならない。


駅前のバスロータリーを過ぎて繁華街の横を通ろうとした時だった。


どこか見知ったその背中に思わず足を止めた。


その人物は、数人の男達を連れていて。
遠くからは沢山の女の子がチラチラと彼らに熱い視線を送っている。


私はそんな女の子達の仲間に加わるようなミーハーさは無いし、何事も無かったかのように一度止めた足を動かし始めると、男達の横を通り過ぎようとした。


でも、そんな私の行動は叶わず…


「おい、無視か?」


そんな軽々しい声が頭上から降ってくる。


どこか余裕気でゆるりしとた雰囲気を纏ったこの男は、やはりなんだか色っぽい。



私は再びピタリと足を止めると


「…こんにちは」


声のする方へと振り返った。


< 354 / 365 >

この作品をシェア

pagetop