Silver Night-シルバーナイト-


強く腕を引かれ、走る。



周りの人達はそんな私達を何事かと目を開き視界に入れた後、スッと当然のように道を開けた。



琉聖や悠真、佑衣が新の事を知らなかった所を見るに、彼はあまり表立って黒雅のトップだと知られていないはずだ。



それなのにも関わらず、こうして周りの人々が当然のように道を開けるのを見ると、やはり族のトップ特有のオーラという物があるのかもしれない。



「ちょっと!いきなり何ですか!?」



素早く走る足を止める事無く私の腕を引く新は、背後ではぁはぁと息を切らす私を楽しそうに見つめてくるばかりで答える気は無さそうだ。



だけど5分ほど走った頃、路地裏でピタリと足を止めた新は




「あー、やっと巻けた」と口にしながら、私の腕をパッと離すとこちらへと振り返りゆるりと口角を上げる




「君、シルバーナイトの下っ端に見張られてるの気が付いてた?」



「へ?見張られてる?」



「ふはっ、今頃あいつら大騒ぎだろうな、知らない男に君が連れて行かれたって。まぁ下っ端には俺が黒雅のトップってバレてねぇからただのナンパとでも思ってるかもしれねぇけど」



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