冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
「え……?」

 フィラーナはポカンと口を開けた。一体どういうことだろう。


 レドリーの話によると。

 候補者全員に帰郷命令を出したあと、ウォルフレッドは父である国王にその報告をしに行った。妃選びについてはウォルフレッドに一任されているので、該当者無しの為、と事後報告をすれば良いだけの話だったのだが。

「陛下は、殿下から報告を受けられ、その場でご叱責なされたそうです。『いつまでもそのような調子ならば、これからは余が自ら王太子妃を選ぶ。それも嫌なら、次の継承順位者を新たな王太子とするほかあるまい』と」

 要は『そんな我が儘がいつまでも通用すると思うか。このままだとお前を廃してテレンスを王太子にするまでだ』という極めて警告に近い宣告である。

 テレンスの存在を匂わされてしまったら、ウォルフレッドとしては何も言い返すことが出来ない。そこで仕方なく、『……では、最終候補者として、エヴェレット侯爵家のフィラーナを』と、ただひとりを残すことを決めてその場は事なきを得たというのが、彼女がこの部屋に移動させられた真相だった。

 本来ならばすぐにでもフィラーナにその旨が伝わるはずだったのだが、いつもとは違い今回は候補者一斉の帰郷となったため城内が忙しなく、伝達が上手くいっていなかったことを、レドリーは丁寧に詫びた。

< 171 / 211 >

この作品をシェア

pagetop