冷徹皇太子の溺愛からは逃げられない
一瞬で部屋中の空気が緊張感で満たされる。怒ったような硬い表情を向けられ、フィラーナは思わず口をつぐんで身体を強張らせた。
「相手が素人や女なら、お前でも易々と倒せるだろう。だが、それがれっきとした訓練を受けた者だった場合どうする? それでも負けないと言い切れるのか!?」
ウォルフレッドが身を乗り出すように大きく一歩近づき、フィラーナの顔を見おろす。その視線は氷のように鋭く冷たい。
「そ、それは……」
その迫力に気圧されるようにフィラーナもソロリと後退してしまう。すると、ウォルフレッドもさらに間を詰めようとさらに前進する。じりじりと無言の攻防がしばらく続き、気がつけばフィラーナは壁際へと追いやられていた。
「自分の力量も把握していないのに、いい加減なことを言うな。わかったか」
これ以上の議論は無駄だと言わんばかりの切り上げるような発言に、フィラーナは瞳を見開く。
(それ……前にも同じことを言われたわ……)
港町で老人の荷物を持とうとして、どうにもならなかったフィラーナに投げかけた言葉と同じだ。あの時は呆れた様子ながらも手伝おうとする彼の優しさを感じて、フィラーナも温かい気持ちになった。だが、今は完全にフィラーナの意見を遮断し、有無を言わせず従わせようとしている。
(女だからって、馬鹿にしてるのね……!)
もともと押さえつけられることは嫌な性分であるがゆえに、そんな言い方をされれば口答えが許される相手ではないと理解しつつも小さな反抗心が生じてしまう。フィラーナは顎を上げて真っ直ぐにウォルフレッドを見つめた。
「故郷では、それこそ殿下のおっしゃる“れっきとした訓練を受けた”騎士たちと剣を交えていました」
「侯爵家の令嬢相手に、騎士たちがどこまで本気を出せたかはわからないが、お前を本気で殺そうとする者はいなかったはずだ。つまりそんな訓練はただの戯れにすぎない」
「な……っ!」
「まだ何か言いたいことがあるのか。だったらまず俺を倒してみろ」
「相手が素人や女なら、お前でも易々と倒せるだろう。だが、それがれっきとした訓練を受けた者だった場合どうする? それでも負けないと言い切れるのか!?」
ウォルフレッドが身を乗り出すように大きく一歩近づき、フィラーナの顔を見おろす。その視線は氷のように鋭く冷たい。
「そ、それは……」
その迫力に気圧されるようにフィラーナもソロリと後退してしまう。すると、ウォルフレッドもさらに間を詰めようとさらに前進する。じりじりと無言の攻防がしばらく続き、気がつけばフィラーナは壁際へと追いやられていた。
「自分の力量も把握していないのに、いい加減なことを言うな。わかったか」
これ以上の議論は無駄だと言わんばかりの切り上げるような発言に、フィラーナは瞳を見開く。
(それ……前にも同じことを言われたわ……)
港町で老人の荷物を持とうとして、どうにもならなかったフィラーナに投げかけた言葉と同じだ。あの時は呆れた様子ながらも手伝おうとする彼の優しさを感じて、フィラーナも温かい気持ちになった。だが、今は完全にフィラーナの意見を遮断し、有無を言わせず従わせようとしている。
(女だからって、馬鹿にしてるのね……!)
もともと押さえつけられることは嫌な性分であるがゆえに、そんな言い方をされれば口答えが許される相手ではないと理解しつつも小さな反抗心が生じてしまう。フィラーナは顎を上げて真っ直ぐにウォルフレッドを見つめた。
「故郷では、それこそ殿下のおっしゃる“れっきとした訓練を受けた”騎士たちと剣を交えていました」
「侯爵家の令嬢相手に、騎士たちがどこまで本気を出せたかはわからないが、お前を本気で殺そうとする者はいなかったはずだ。つまりそんな訓練はただの戯れにすぎない」
「な……っ!」
「まだ何か言いたいことがあるのか。だったらまず俺を倒してみろ」