【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「もうあの頃の女子力の低い私は忘れてください……。今は真っ黒の卵焼きとか作りませんから……」

「え?そうなの?」
それが食べなかったの?そんな疑問がわくような答え方に、私はまた冷蔵庫の中を見た。

「で?どっちですか?」

「ご飯がいい」
嬉しそうに言った部長の背中を押して、今度こそキッチンから追い出すと、冷蔵庫から肉を出して生姜焼きにすることにした。

サラダや簡単な煮物は作り置きがあるし……。
ご飯もタイマーで炊けてるから大丈夫かな。

頭の中でざっと時間を計算して、お味噌汁を作るための水を沸かし、具をきり、豚肉に下味をつけた。

その間、部長はテレビを見たり、そんな私にチラチラ視線を向けるから何か落ち着かない。


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