【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「え?こんな高級なところ、営業のままのこのスーツでいけないですよ!」
慌てていった私に、水田先輩は私の服をジッと見た。

「そうかな?全然大丈夫だと思うけど……」

「でも……」
私はここのホテルの中って何が入っていたっけ?とホテルに目を向けた。

あ……。

そこで嫌でも気づいてしまう自分を恨んだ。

ホテルのエントランスの中にいる部長と……。

あの時の人だ……。

最後に見た妖艶に笑ったあのきれいな人。

動きを止めた私に気づいたのだろう、水田先輩もそちらを見た。

「部長……いつも現れるな」
最後は呟くように水田先輩もその光景を見ていた。

噓!

そこで、バシっとあの女の人と目があって、私は慌てて視線を外して後ろを向いた。


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