【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「やっぱりここのホテルはやめようか」
そう言って水田先輩は私を見た。


「はい……」

「あーあ、いつも羽田さんと話をしようと思うと、部長に邪魔される気がする」
水田先輩は苦笑しながら言うと、私を見据えた。

「まだ好き?部長の事」
ストレートに聞かれて、私は反射的に先輩を見上げた。

その優しい瞳に嘘をつくことはできない。

「はい。ごめんなさい……」

「羽田さんのことみてくれなくてもいいの?俺は部長の代わりから始めても全然いいよ?」

その言葉は嬉しい。でも、たぶん私は部長以外を受け入れることができないのも事実だ。
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