【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「うそだ……」
うわーんと声を上げて泣きたくなり、私は今の現実が信じられず、本来なら可愛らしく嬉しいといいって涙を流したかったが、そんなことにはならず泣きじゃくった。

「沙耶……。嘘じゃないよ。俺はお前が好きだ。沙耶はやっぱり水田?」
その言葉に、部長は部長でずっと水田先輩とのことを気にしていたことが分かり、私はぶんぶんと首を振った。

「水田先輩に行ければ幸せになれるって……何度も……」
泣きじゃくりながらそう言うと、また部長は動きを止めた。

「俺が日名子といたから、水田に行こうとしたのか?それで水田に会った?」
何故か、強い口調で言われて、私はまた涙があふれる……。

「違うのに……部長……怖い……」

「だってやっぱりあってたんだろ?日名子がそう言ってた。お前たちがホテルに入って行ったって……」

「ホテル?!そんな所に行くわけない!」
ファミレスがどうしたら、ホテルになるのだろう?

「日名子さんを信じるの?」
尋問のように真剣な視線に射抜かれて、私は涙を浮かべて部長を仰ぎ見た。

「いや、信じないけどお前から聞きたかったというか……。あーっもう!お前って……本当にやっぱり天然だよな……」
ため息をつきながらブツブツと言う部長に、不安になりつつ「なにが?」と問いかける。

「もういい!最後に聞く。沙耶、俺の事好き?」
少しだけ見えた不安に揺れる瞳に、私は泣き笑いを浮かべた。
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