【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
そんなことを思い出してしまった自分を叱咤し、目の前の仕事を片付けようと思った。
でも、できるわけもなく、私は席を立って時計を見た。

あと30分後……。

死刑でも宣告されたような気持ちで、どうこの時間を過ごすべきか分からなかった。
もちろん仕事をするべきなんだろうけど、まったく集中できない。

コーヒーでも買いに行こうと、フロアを出てエレベーターホールの向こうにある休憩室へ向かう。

「こんなことなら、すぐに終わらせればよかった……」

とりあえず自動販売機で缶コーヒーを購入し、そのまま温かさを手に感じるように握りしめ、休憩室の椅子に座って目を閉じた。
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