【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「ごめんなさい……」
素直に言葉を発した私に、優悟君は触れるだけのキスをすると、

「なんで謝るんだ?妙な心配するなよ。俺には沙耶だけだ」
耳元でそう囁きながら、ギュッと抱きしめた後、甘い笑顔を見せて、いつの間にかかけていた、資料室の鍵を開けると颯爽と戻って行った。

かなわないな……。
ちゃんと鍵までかけて……。

そして私の不安に気づいて、これだけのために来てくれたことが嬉しかった。

忙しいのに……。

さっきまでの暗い気持もどこかへ行き、私は目的の資料を手にした。

さっきの優悟君に、私の顔は真っ赤だと思う。
パタパタと手で自分の頬を仰ぐと、私も資料室を後にした。



< 176 / 287 >

この作品をシェア

pagetop