【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「ねえ、今からどうせお昼でしょ?」
そのお母さんの言葉に、私はぎょっとした。
「ああ、そうです」
笑顔で答えた大ちゃんに、私は内心舌打ちしつつこれ以上事が大きくならない事を祈るしかなかった。

「じゃあ、昼ご飯食べて行きなさいよ」

「いいんすか?おじゃましまーす!」
勝手知るように、大ちゃんは靴を脱ぐとお父さんの前の席へと座り込んだ。

なんでこうなるのよ……。

ご飯が並び、私を除きにぎやかな食事が始まり私はどうしようかと思案する。

「ねえ」
私の呼びかけにも、お母さんは聞こえないふりをして大ちゃんに話をふる。

「大知くんは酒屋の手伝いしてくれるお嫁さんがいいわよねー」

「そうですね!一緒に店をやってくれたら最高ですね」
美味しそうにご飯を口に入れながら、答えた大ちゃんにお母さんは私を見た。

「沙耶、ほらこっちに帰ってきたらいいじゃない」
そのストレートな言葉に、私は大きな声を上げた。
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