【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「ごめんな。今まで旅行すら連れてきてなかったな」
昔付き合っていたときは、本当にお互いお金が無くて、2度目に付き合いだしてからはお互いの仕事が忙しかった。
「そんなこと気にしたことないよ」
そう言った私に優悟君もホッとした表情をした。
「あの時も、すごいと思ったけどやっぱりこの星空はすごいね」
「ああ、もう一度ずっと沙耶と一緒に見たいそう思ってたから、ようやくって感じだな」
手を空に伸ばしている私とは違い、優悟君は私の髪をもてあそびながら、穏やかな笑みを浮かべていた。
「本当、私もずっと優悟君との写真を捨てられなかった」
どれだけ見ても飽きない、星空に私達はしばらく空を見上げていた。
「沙耶、冷えてきたぞ。お前冷たい」
優悟君は抱きしめていた手で私の手をさすりながら、中に入るように促してきた。
「でも、せっかくの空だし、もっと着るもの持ってこようかな……」
そう言った私に、優悟君はなぜかにやりと笑顔を浮かべた。