【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
バスタオルを巻いて、これでもかと照明を落とし私はゆっくりとバスタブに近づく。

「沙耶」
優しく呼ばれる声に、私は真っ赤になっている思う。
肌を重ねていても、やはり一緒にお風呂はハードルが高い。

でも空を見上げれば満点の星空が広がり、ゆっくりと温かいお湯に体を埋めると小さく息が漏れる。

「あったかいね……」

「寒かったからな」
そう言って後ろから抱きしめられ、肌と肌が密着する。
一生懸命星に意識を持って行っていても、優悟君は私の背中やうなじにキスを落とす。

「沙耶、かわいい。沙耶、好き」
これでもかとささやかれるその声に、私はもうのぼせそうだ。

「優悟君、もう暑いよ……」
耐え切れず言葉を発すると、その言葉ごと奪われる。

「これからはずっと一緒にいて……」
深くなるキスの合間のその言葉に、私はなんとか頷いた。

プロポーズと初めてのお泊り旅行は、とても幸せで甘い思い出。



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