【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「みんなどこ行ってるのよ?」
そう言いながら更に現れた女性社員に、俺はため息をついた。
「美耶子!」
「美耶子先輩!」
慌てたように言葉を発した、沙耶と近藤さんが、この子のために水田を呼んだことが分かり、俺は沙耶を見た。
沙耶の訴えるような瞳に、俺は小さく微笑んだ。
「じゃあ、ここで失礼するよ。沙耶、カバンは?」
その言葉に、すぐに高遠が走って行くのがわかった。
「これです!」
すぐに上着とカバンをなぜか俺に渡す高遠に、俺はお礼を言うと沙耶を連れだって外に出た。
「沙耶、ごめん」
沙耶の手をギュッと握って小さく呟いた俺に、沙耶は口元を押さえていたハンカチを取った。
「優悟君のバカ。私の事信じてないんだ」
その言葉に、俺は言葉が出ずタクシーに乗り込んだ。