【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「ああ、あの頃は小さなレンタカーだったな」

素直にこぼれたその言葉に、私は思わず顔だけを運転席の方へ向けた。

私、今どんな顔をしてるんだろう――。もしかしたらかなり驚いた表情をしていたのかもしれない。

そんな私を見て、佐伯部長は一瞬ばつの悪そうな顔をした後、ゆっくりと手を伸ばしてきた。

え? なに?

戸惑う間もなく、ふいに視界が暗くなる。

「まだ薬が効かないだろ? 眠ってろ」

佐伯部長の手が、そっと私の目元を覆っていた。

驚きながらも、チカチカと痛んでいた視界が暗くなることで、頭痛が和らいでいくのを感じる。

――やめてよ。あの頃みたいに、優しくしないで……。

そう思いながらも、抵抗することも、言葉を発することもできず、私はただ静かに目を閉じた。

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