【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
「部長と話す羽田さん、少し雰囲気が違う気がして……」
「え?」
私の心臓がドクンと音を立てた。知らないうちに何か部長に違う態度を取ってるって事?
「そんな顔しないでよ。余計勘繰りたくなる……」
呟くように言った水田先輩の言葉の意味が解らず、私は困惑した表情を浮かべたのだろう。
「ごめん、こんな大変な時に。なんでもないよ」
そういっていつも通りの笑顔を向けた水田先輩は、私のPCの画面の中の仮のポスターの写真を指さした。
「いい写真だねよね」
「ええ、まだ適当に入れてるだけのイメージですけど」
部長が昨日送ってくれたイメージ写真を見つめた。
なぜか懐かしくなる、一面の星空の写真。
「これを撮ったのって部長なんだってね」
「そうなんですか?」
驚いて見上げた私に、水田先輩は言葉を続けた。
「ああ、いい写真ですねって聞いたら、珍しく笑顔で思い出の写真なんだって言ってた」
思い出の写真……。