【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら



「部長もきつねうどんなんですね」
友里は狙ったのか、事実を述べただけなのかわからない問いに、部長は苦笑しながら箸を割った。

「さっき、チョコとお菓子を食べちゃったから、あまりお腹が空いてないんだ。でも会議前だし何か食べないとなって。まさか羽田と同じとは思わなかったけど」
にこやかに言ったその言葉に、私はむせて咳き込んだ。

「大丈夫?」
慌てた友里と前に座る水田先輩の声に、私は涙目で頷いた。

「ほら飲め」
目の前に差し出された水を慌てて飲むと、ホッと息を吐いた。

その差し出された水が部長の物だとわかり、私は慌てて部長を見た。

「まだ手を付けてない水だからいいだろ?」

そんなつもりで言ってないのに。
そんな思いが心の中に広がったが、否定するわけにもいかず私はただお礼の言葉だけを述べた。

「へえ、主任チョコレートとか甘いもの召し上がるんですね」
水田先輩の言葉に、部長は意外な返事をした。
< 44 / 287 >

この作品をシェア

pagetop