【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
苛立ちと怒りに似た感情が沸き上がり、私は箸を置くと友里を見た。
「私先に準備したいから行くね」
なんとか冷静に言えたと思うが、水田先輩はもちろん佐伯部長の顔など見ることはできなかった。
どうして今更再会して、意地悪ばかりするのに、時々こうして私の気持ちを揺さぶるの?
なんなのよ……。
そのまま化粧室へと逃げ込むと、じっと鏡の中の自分の顔を見つめた。
冷静さも何もない、あの頃の様な不安で今にも泣きだしそうな自分の顔がそこにはあった。
もうすぐ大切な会議だ。
こんなことに振り回されている場合じゃない。
泣きそうな気持を押し殺し、外に出ると少し離れた所に部長の姿があった。
「やっぱりここだった」
「なんで……」