【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
やばい……。
目の前が暗くなりそうなのを何度か繰り返し、私は諦めて友里に声をかけた。
昔から酔っていてもあまり顔にでるほうではなく、気づかれない事が多い。
「友里、ちょっと疲れてるみたい。先にかえるからこれ」
こんな時でもお金のことに頭が回った自分をほめてあげたい気持ちになりつつ、財布から5千円札をだした。
「大丈夫?一緒に帰ろうか?」
心配そうにいった友里に、私は首を振った。
「満ちゃんだいぶ飲んでるし、お願い」
その言葉に、友里は頷くと「お疲れ」そう言って私に手を振った。
それを見届けると、チラリとまだ女子社員に囲まれている部長を横目にそっと店を出た。