【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら
私を乗せると、無言で部長は車を走らせた。

どこへ行くかとか、下ろしてほしいとか、そんな事を言える雰囲気じゃなくて私はただ外の景色に意識を集中した。

終わらせるために話をするのだろう。そう思うと心が悲鳴を上げる。でもこれも前に進むために必要なのかもしれないそう思った。

そんな私の思いとは裏腹に、車は私のマンションの前にとまった。

「お疲れ」

その言葉に、私は何がなんだかわからず部長をみた。

「どうしてですか?なんで私に構うんですか?」
泣きそうな気持で私は部長に問いかけた。
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