【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

「さようなら、ゆ……」
最後に優悟と名前を呼びたかったが、どうしても呼ぶことができずそこで言葉を止めた。

「……部長、明日から上司と部下としてよろしくお願いします」
それだけを俯いて、部長に背をむけたまま言うと、私は一気に車を降りてマンションのエントランスに駆け込んだ。

ようやくケジメをつけれたと思う……。

エレベーターに乗り込んだ時には、涙を止めることがもうできなかった。

5年越しの2度目の失恋に、私は泣きながら自分をほめていた。

がんばったよね。結局同じ人にまた失恋したけど、これで本当に前に進める。
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