【2025.番外編&全編再掲載】甘い罠に溺れたら

あの頃の幸せな時間は嘘じゃなかったんだから。
それだけがやっとわかってよかった……。
そう思い込もうと私は自分に言い聞かせていた。

私は思い立って、あれ以来ずっと封印してきた箱をクローゼットから取り出した。
そっと中を開けると、二人の写真や一緒にとった写真がたくさん出てきた。

その中からあの写真を見つけた。
長野の星空の写真。

部長が使った写真とは違うのは、そこには星空のした幸せそうに微笑む2人が写っている事。
幸せそうに肩を寄せ合う私たちの時間は、確かに存在していて本当に思いあっていた。
その事が解ってようやくこの写真やもらった指輪を見ることができた。
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