好き。だからこそ嫌いになりたい。
「ねえ!それ見せてよ!」


「…全く。」


そう言って栗原は私に絵を見せてくれた。


栗原が描いた空は、ダイナミックで色も凄く綺麗で

神秘的でとても綺麗だった。

「…綺麗。」

絵の事なんて全く分からないけどでもこの絵は何か好きだ。

「先生。」

「…何ですか?」

「私、この絵欲しい。」

「え?」

「欲しいの!ダメ!?」

何故かこの絵が凄く欲しくなった。

絵に興味なんてないはずなのに
この絵だけはどうしても欲しかった。

「それが良いんですか?」

「…この絵じゃなきゃダメなの!!」

「…なんでそんなに欲しいのか分かりませんが分かりました。…内緒ですよ?」

そう言って栗原は私に絵を渡してくれた。

「有り難う!」

その時

キーンコーンカーンコーン

17時を知らせる、チャイムの音が鳴った。

「ほら、もう帰りなさい。…早く帰らないと危ないですよ?」

「…はーい!先生有り難う!また明日ね!」

「…はいはい!」

「また明日!栗原先生!」


そして私は貰った絵を握りしめ、

部室から出て行った。




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