凛々しく、可憐な許婚
職員全員が出勤し、道実学園長が職員室に入ってくると、尊をはじめとした異動組3名と新卒者2名の教師が紹介された。

「光浦先生、鈴木先生と一緒に2年4組なんですね。部活の顧問も一緒なんて羨ましい」

「そうですか?」

隣に立っていた田村にそう囁かれた咲夜は、首をかしげながら微笑んで"返事をした。

田村がポッと頬を赤く染める。

「(そんな顔で見つめるなんて)やめてくださいよ。光浦先生,,,」

"(からかうな、なんて)可愛い。美雪先生"

さらにニコニコと微笑む咲夜に、ますます田村が顔を赤くする。

実は、咲夜の何気ないこのクセの破壊力は、女子にも有効なのだ。

その破壊力の効果を、咲夜自身は自覚も評価もしていないのだが、

咲夜は、田村が"尊への憧れの気持ちを咲夜にばれてしまって照れている"と勘違いして微笑んでいた。

いつもより破壊力を増している咲夜の微笑みに、周囲の教師(女性も含む)が釘付けになる。

その様子を、正面から厳しい視線で凝視する

"鈴木先輩"

に、咲夜は気付いた。

尊の視線を追いかけてこちらを見た雅臣は、肩をすくめて苦笑しているようだ。

"やだ、声が大きかったかな?怒らせた,,,?"

はっと、真面目な顔に戻った咲夜を見て、周囲の教師達も姿勢を正す。

臨時職員招集は、こうして幕を閉じた。
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