凛々しく、可憐な許婚
「,,,それでは、クラスの方は4月7日の始業式からが本格始動ですね。1年生はランダム編成でしたが、2年生からは本人が選んだ選考にそったクラス割になります。部活の方は,,,」

咲夜は、2年4組の1人1人の内申書をめくりながら、尊に話しかけていた。続けて部活の部員一覧に手を伸ばす。

他の教師の視線があるからか、尊も朝のように、咲夜をからかったり体に触れてきたりすることはない。

背筋を伸ばして、顔をつきあわせながら会話をしている2人の様子に、周囲の教師は、ほぼ全員が目を奪われて次の行動を忘れてしまっていた。

尊も咲夜も比較的ラフなスーツを着ており、決してお洒落をしているわけではないのに、その周囲には気品が漂っている。

話している内容も、生徒と学校のことばかりで色気もなにもないはずた。

凛々しい王子のような尊と可憐な大和撫子の咲夜。

ただの高校教師として、会話をしている違和感が半端ない。

このはな学園の教師と生徒は、咲夜が赴任してきた当初から彼女のことを"姫"と呼んでいた。

姫に負けずとも劣らない気品を撒き散らす、尊の呼び名は、

この日から

"王子"

と決まった。
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