凛々しく、可憐な許婚
「もう一つ聞いてもいいかな?」

「いくらでもどうぞ」

素直になった咲夜は、尊に対してはもう怖いものなしだ。

「どうして、吉高先生は私に尊くんの噂や目撃情報を教えてくれたのかな?」

「それは咲夜に気があるからだろう、って,,,俺は思ってたんだけど、今日のバーでの態度を見るとそれも違う気がしてきてる」

尊は、咲夜の背中を撫でながら、安心させるように言った。

「俺の方でも吉高先生に確認してみるけど、咲夜も聞けそうなタイミングがあれば直接、吉高先生に聞いてみるといいよ」

「そうだね。結果的には、吉高先生の情報のお陰で素直になれたんだから感謝しなくちゃ」

「傷ついたことには変わりないんだから感謝はしなくていい」

ムッとした表情の尊に、咲夜の恋する気持ちが加速する。

「ムッとした尊くんも格好いい」

「,,,!,,,咲夜」

尊が再び咲夜の唇を奪った。

「もう、これ以上はダメだよ。尊くん。眠い,,,」

「,,,おやすみ、咲夜」

そう呟くと尊はキスをやめ、リモコンを操作して照明を消した。

ベッド灯の薄明かりに照らされた咲夜はすでに眠りに落ちていた。

尊はやっと咲夜に全てを受け入れてもらえたと実感することができて、安堵のため息をついた。

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